#00

 

高校の頃、長い休みに入ると

 

ヒッチハイクで国内を旅していました。

 

色々な人に乗せてもらうなかで

 

いつも受ける質問は

 

「君は何になりたいの?」でした。

 

その時は、上手く答える事は出来なかったけど

 

今ならもっと明確に答えられます。

 

それは、その質問を

 

投げかけてくれた人達のお陰だとも

 

思っています。

 

 

 

 

 

#01


「そこに山がないからさ」


今考えても、そのくらい曖昧な答えしか

出てこないけれど

二十歳の夏に東京ー京都間を歩きました。

日本橋から三条大橋までの

約500kmの野宿生活。

日本とは、自分とは

そんなことを考えていました。

ウサギとカメなら

カメの歩みを選ぶ

それは今も変わらない。

長い長い距離を歩くと

それは1つのサイズとして

自分の中に入ってくる。

理由なき行動も

いつかその理由に気づく時が

くるのかもしれない。



 

 

#02

 

「これ、持って行きなさい」

 

イタリアの友人を訪ねる旅の直前に

 

恩師からもらった10euroは

 

旅の間もその後も

 

お財布の中に入ったままでした。

 

今でもそれは

 

お金の形をしたお守りです。

 

 

 

 

 

 

#03

 

軒先に下げられた「アルバイト募集」の文字。

 

店主らしき人物と2、3言葉を交わし

 

その週末から働くこととなりました。

 

80年もやっているという

 

そのカバン屋で、色々なカバンに触れ

 

少しづつ接客を任されるようになっていきました。

 

学生だった自分は就職と共にその店を

 

離れることとなり、最後のお礼を伝えました。

 

「色々と教えて頂き

 

   ありがとうございました。」

 

「私は何も教えていないよ、

 

   カバンが教えてくれたんじゃないのか 」

 

  生きていく中で忘れられない言葉は


たくさんあります。

 

 

 

 

 

 

 

#04

 

「佐藤くん、夕飯ご馳走するから」

 

しばらく務めた会社を辞め、旅に出る数日前

 

親方はそんな風に声をかけてくれました。

 

連れて行かれたのは

 

親方の家の近くの小さなレストラン。

 

 

いつも口うるさくケチな親方は

 

同席してくれた奥さんのために、水やおしぼりを運んで

 

常に奥さんを気にかけていました。


そんな親方の横顔は

 

とても幸せそうでした。

 

 

親方には何度も叱られたけど

 

刃物や機械の使い方を

 

教えてくれた人の

 

別の一面を

 

ボクは忘れない。

 

 

 

 

 

#05

 

長旅を終え帰国。


長年憧れていたバッグデザイナーの


職につくも、足早にその仕事を離れました。


自分が思っていた自分と


実際の自分には


まだまだ隔たりがあり


先は見えずとも


やりたい事をやろうと


切り出した決断は


今の自分に繋がっています。





 

#06

 

「君は、独立してくれ。」

 

バッグデザイナーを辞めて

 

始めたばかりのカバン修理のアルバイト。

 

期せずして、住む場所に制限が

 

なくなった自分は

 

「海の近くに」

 

そんな思いのまま

 

今は丘の上に建つ家に住んでいます。

 

あのバイト先の店長の一存がなければ

 

今は何をしていたのだろうか。

 

 

誰しもそうであるように

 

不思議な切っ掛けは

 

突然やってくる。

 

 

 

 

 

#07

      

「革小物」


その人が触れた形や

一緒に過ごした時間

色々な想いが
 
込められて

初めてそれは

その人だけのものとなる。

 

#08

 

頭の中で思い描いた物を

 

手が形にしていく。

 

頭の中で思い描いたものが

 

違っていた時

 

手は別の提案をしてくれる。

 

思いもよらなかった

 

クロスオーバーは

 

ものづくりの中に存在する。

 

 

 

#09

 

「どうぞお掛け下さい」

 

工房へ続く長い坂の途中

 

その椅子はあります。

 

子供達が一生懸命作った

 

その椅子を見るたび

      

この町にこの椅子があって


良かったなあと

 

坂を登りながら


想いを巡らせます。



 

#10


いくつもの選択が


今に至る道を与えてくれた。


道を教えてくれるのは


いつも、側にいてくれる人。


その力は計り知れない。




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